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【2024/05/19 05:24 】 |
<そのとき、おとなりで>
「そのとき、おとなりで」
「ソロモンの卵」第4話。アンシェル弱体化につき注意(笑)

<そのとき、おとなりで>




さて、お隣の奥さんの用事とは、なんだったのでしょうか。
この日、お隣の奥さんは、自宅にいました。

そして、リビングのテーブルの向かいに、無表情で座っているアンシェルを、
なんとも言えない表情で見ていました。

ちなみに旦那様は、アンシェルが来る前に、「奴がいると子どもの教育に悪い」と言って、子ども達をつれて出掛けていました。


「…しっかし、本当に馬鹿よねぇ」
「そうだな」

アンシェルは否定することなくあっさりと肯定しました。

「本当は楽しみにしてるんでしょう?ヒナのことは」
「100%、そうとは言えない」

抑揚なく言うアンシェルに、

「あら、何がひっかかってるのかしら?」

奥さんが訊きました。
アンシェルは一度ため息をついてから、



「私が父親になれると思うのか?」



と下を向いたまま言いました。

「なれるんじゃないの?」

奥さんは即答しました。そして、

「うちのも似たようなこと言ってたわよぉ、そう言えば」

と、けらけら笑いながら言いました。

「子どもができたとわかった時のあの不安…お前にはわからないだろう」

「あ、今の一字一句、うちのが言ったのと変わらないわ」

「………」

アンシェルは黙り込みました。

「まぁさすがに、『食べる』とは言わなかったけどね」

こんなに捻くれてる人が夫だと、ソロモンも大変ねぇ、
うちのは可愛いだけだけど。
と奥さんは本当に同情を込めたように言いました。

「だいたいね、アンシェル」

奥さんは、表情を厳しくして言いました。

「今一番辛いのが誰か、あなたわかってるしょ?」

アンシェルは何も答えません。

「あなたが支えないで、あの子のこと、誰が支えるの?」

その時、ドアが開きました。旦那様でした。

「なんとも情けない光景だな」

旦那様は、下を俯いて黙り込んでいるアンシェルを見て、そう言いました。

「あらぁ、その台詞あなたが言うの?」

旦那様は無視してドアを閉めました。

「子ども達はジョージのうちに置いてきた。…子ども同士で盛り上がってしまってな。後で向かえに行く」

そう言いながら、旦那様も椅子に座りました。

しばらく誰も喋りませんでした。

「アンシェル、今はソロモンのそばにいてやれ。それだけでいい」

落ち着いた表情で言う旦那様を見て、

(自分だって、てんてこ舞いだったくせに…格好つけちゃって…)

奥さんは口にださずに、心の中で爆笑しました。

「何かあれば我々がいる。それを忘れるな」

旦那様のその言葉を聞いて、奥さんは思わず吹き出しました。

「…なんだ?」

真面目な話をしている時に不謹慎だぞ、と言いたげに旦那様は奥さんを見ました。

「なんでも…まぁ、アンシェル、たしかにジェイムズの言う通りよ」

「……しかし……」

「自信持ちなさいって。だってあなた、あんなに純粋な子に好かれる男なのよ?」

そう言ってから、意味ありげに、奥さんはアンシェルを見つめました。

「私もあなたのこと、好きだし?」

旦那様が不自然に大きい咳払いをしました。

「やっだぁ、嫉妬してるの?」

奥さんが嬉しそうにそう言うと、

「何も言ってないだろう」

旦那様は仏頂面で答えました。

それからしばらく三人で話してから、アンシェルはソロモンが待つ家へと帰っていきました。




<せかいでいちばん、たいせつなふたり>に続きます♪

兄さん碇ゲンド●症候群…!!
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【2006/04/30 23:41 】 | 移転未完了SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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