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【2024/05/19 08:02 】 |
せかいでいちばん、たいせつなふたり
「せかいでいちばん、たいせつなふたり」
ペンギンソロモン第5話です…!




<せかいでいちばん、たいせつなふたり>




ぱりぱり。


アンシェルが奥さん達と話している頃、ソロモンの足元で、
卵が中からつつかれて、少しずつ、少しずつ殻が剥がれていました。

まだ空いている穴が小さいので、ヒナは見えません。

それでもソロモンは、羽毛を持ち上げて、卵に微笑みかけていました。
アンシェルのことがまだ心配ではあったけれど、ヒナを笑顔で迎えてあげたかったのです。


ぱりぱり。


ヒナは懸命に、中から卵をつついていました。
たいぶ穴が大きくなって、ヒナの顔が見える、という時。


玄関のドアが開きました。
アンシェルでした。


ソロモンは反射的に卵を羽毛で包みました。

「兄さん……!」

ソロモンは慎重に後退します。

「ソロモン…」

アンシェルは何か言おうとするのですが、警戒しているソロモンを前に、
何も言い出せませんでした。

ドアを後ろ手に閉めれば、その音にソロモンはびくりとして、
また後ろに下がってしまいます。


にらみ合いが続きました。


それからどれほど時間がたったかはわかりません。


そうやって二人とも全く動きません。



その時でした。



ソロモンの足元から、ヒナが顔をだしました。
あ、とソロモンが声をあげた時には、ヒナはソロモンの羽毛から飛び出していました。


少しきつめの、大きな目を持つヒナでした。


ソロモンが止めようとした時にはもう遅く、
ヒナはよちよちと、アンシェルの方へ歩いていってしまいました。

アンシェルはその場でしゃがむと、ヒナを手のひらに乗せてやりました。

ソロモンは動くことも出来ず、恐怖で顔を凍りつかせています。

ヒナは、アンシェルの手の上で、何回かぱちぱちと瞬きをしました。


そして、安心したように腰を降ろすと、


にぱ。


と、はじける様に笑いました。

つられて、アンシェルも笑いました。
とても幸せそうでした。


ソロモンはその光景を、しばらく不思議そうに、
唖然として眺めていましたが、
アンシェルが幸せそうに笑っているのを見て、
全てが、わかりました。

アンシェルとソロモンは、互いに歩み寄りました。

アンシェルが降ろしてやると、ヒナはまた、暖かいソロモンの羽毛の中へと戻っていきました。

そして、首だけ外にだして、気持ち良さそうに目を閉じます。


そんなヒナを見てから。

アンシェルとソロモンは見つめ合いました。

二人とも、穏やかに微笑んでいました。






END




ももももももももも………!!!(声にならない謎の叫び)
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【2006/05/01 09:58 】 | 移転未完了SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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